私の息子が、事件の「加害者」になりました

ストーリー Story

冷たいコンクリートの面会室で息子と向き合う鳴海。その空気の重さだけが、取り返しのつかない出来事を物語っていた。無差別傷害事件を起こした息子・聖を前にして、鳴海はなぜ彼がその行為に至ったのかが分からないままであった。 事件後の鳴海に浴びせられるのは社会からの強い非難、さらに被害者側の立場にある人物の苦しみと接触――こうして鳴海は修復不可能な現実を突きつけられていく。 答えの見えない問いにもがきながら、息子と再び向き合おうとするその歩みは、人生そのものが抱える不具合≪BUG≫を直視する。その痛みと葛藤を正面から描いた人間ドラマである。 ※オムニバス映画「Mothers マザーズ」の一編。他、4編も配信中。

監 督  武田恒

脚 本  武田恒

助監督  長嶺将希

録 音  樋川祐輝

撮 影  根岸憲一(J.S.C.)

編 集  野田紬

出 演  小沢まゆ  上田雅喜 悦永舞 垣内健吾 吉牟田眞奈

映像作家

初めまして、武田恒です。生まれは愛知県の名古屋市で、高校までは愛知県の中高一貫校で育ちました。映画に関わることになった『きっかけ』は日本映画大学に進学したことです。私はその中で、脚本を専門的に学びました。講師の一人は(今は亡くなってしまいましたが)斎藤久志さんという情熱的な脚本家・映画監督の方で、振り返ってみると『映画を教えてくれる』のではなく『映画を一緒に作った』という感覚が蘇ります。

 大学生の時、20分程度の自主映画を作りました。その時、真っ先に感想をくれたのが斎藤さんでした。そして、真剣な表情で意見と感想を頂きました。実は興行(プロ)として上映をさせて頂ける今になっても、真剣な感想というのは中々出会えないものです。それが悪いということではなく、プロである以上、作品をきちんと自己分析して次の制作に活かすというのは当然のことだと今は理解していますが、斎藤さんの言葉は今も大切な言葉として残っています。

 大学卒業後はテレビ番組の制作会社でADの仕事をしながらシナリオを書き映画を観ることを少しずつ続けていきました。たまにコンクールに出すことはありましたが、良い結果を得られることはありませんでした。しかし、夜間定時制高校を舞台にした映画のシナリオを書いた時に「これを映画にしたい」と強く思い、自分でスタッフ・キャストを集め、監督も務めました。今、振り返るとかなり無謀な試みだったと思います。そして、宣伝をきちんとできなかったことや作品の品質面など、反省や後悔も残りました。

 それ故、今後の制作ではその反省を活かそうと感じ、『BUG』という短編作品を制作しました。この作品はオムニバス映画『Mothers マザーズ』のうちの一編で総合プロデューサーを務める難波さんから声をかけて頂きました。このオムニバス映画はたくさんの方の協力を経て、全国10館のミニシアターで上映することができました。そして、この短編作品をジーンシアターさんで配信できることを本当に嬉しく思っています。

 今後も少しずつ、映画を続けていこうと思っています。私は映画の定石を大学で学びましたが、それは定石でしかないです。人にはそれぞれの仕事や土地や家や人間関係があります。実はそういう人の状況によって、映画の進め方は大きく変わって来るような気がしています。今後は『自分なりの』作り方・進め方を見つけられるようにしていきたいなと思っています。

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