ミニシアター探訪

シアターセブン

インディーズ映画愛溢れる十三の映画館

大阪の下町の雰囲気のある十三に佇むミニシアター

今回のミニシアター探訪は大阪十三にあるシアターセブン。インディーズ映画を多く上映しているイメージがある。十三は大阪の下町、シアターセブンは商店街の中にあった。確かに商店街は少し下町風だ。

本日はシアターセブンの菅野健太支配人に話を伺うことになっている。

シアターセブン 菅野健太支配人

十三という街は、映画好きが自然と集まってくる場所だと聞いていた。私のような関東の人間には、土地勘も空気感もすぐにはつかみきれないのだが、それでも商店街を歩いていると、どこか「映画館へ向かう道」の匂いがする。気取らない日常の延長線上に、ふっと入り口が現れる感じ。こういう立地は、ミニシアターにとても似合う。

菅野支配人に伺うと、この場所には戦後からずっと映画館があり、名前を変えながら根付いてきたという。現在の「第七藝術劇場(通称:ナナゲイ)」は1993年にできたとのことで、この地域にとって映画館は“昔からそこにあるもの”だったのだろう、と想像できる。

そしてシアターセブンは、そのナナゲイと同じビルにある。

成り立ちも面白い。もともとは別組織で、シアターセブンはNPO法人が立ち上げた劇場だ。ナナゲイでは以前から舞台挨拶やイベントを多くやっていたものの、時間がくると観客が入れ替わっていくなかで「お客さん同士が交流し、じっくり話ができる場所を提供したい」という思いがあったそうだ。
そこで、映画だけでなく、映画以外のイベントもできる“複合スペース”としてシアターセブンが構想され、2011年に始まった。
映画館が「観る場所」から、少しだけはみ出して「話す場所」になる。その発想が、最初から組み込まれていたわけだ。

2020年には、ナナゲイとシアターセブンが経営統合する。どちらも劇場なのに、運営会社もスタッフも別で、十分な協力体制が組めていなかった時期があったという。そこで統合し、これまで以上に密接に連携できる形にした。結果的にコスト面でも効率的になった、という話も印象に残った。

上映作品はインディーズ中心の劇場”というイメージ

では、シアターセブンはどんな作品を大事にしているのか。
菅野支配人の言葉は明快だった。「シアターセブンは“インディーズ中心の劇場”というイメージを、配給会社もお客さんも持っている」とのことだ。

インディーズを重視する理由は、単に作品数が多いからではない。舞台挨拶やトークイベントを通じて、つくり手と観客が交流し、意見を交わす——その“劇場としての特徴”を強く意識しているからだという。東京から監督が来てくれることも多いそうだ。

作品そのものと同じくらい、「人が集まる理由」を丁寧に編み込んでいる

作品選びの基準も、印象的だ。「作品のクオリティはもちろん大事。ただそれだけではなく、「お客さんに届けたい」という思いが強い作品、そして監督の熱量が高い作品を選びたい、と話す菅野支配人の目は輝いていた。熱い思いのある作品にはお客さんがついてくる——劇場の現場に立つ人の実感がよく伝わる言葉だ。

「記憶に残る作品」の話になった時、菅野支配人が挙げたのが、『侍タイムスリッパー』が大ヒットした安田淳一監督のデビュー作『拳銃と目玉焼』。シアターセブンが最初に上映したという。

そして『侍タイムスリッパー』はシネコン上映が一段落した後、シアターセブンでは“遅めのタイミング”で上映し始めたにもかかわらず、安田監督がキャストを連れて何度も舞台挨拶に来てくれたという。売れていない時代に良くしてくれた劇場への義理堅さ——その話を聞いて、私は「映画館が映画界を育てる」のではなく、「映画館とつくり手が一緒に映画界を育てていく」姿を想像した。

一本のヒット作が劇場を救う、という話はよくある。でも、救われた劇場が、次の誰かを照らす場所になっている。そういう循環が、ここには確かにある。

地域を大事にするミニシアターとして

他にも大切にしていることは地域との関わり。商店街のお店と情報交換をしながら、月1回、近くの店で「おすすめ映画を紹介するイベント」をやったり、チラシを置かせてもらったりしているという。

映画好きには“当然の存在”でも、街の人にとってはまだ“発見されていない場所”なのかもしれない。だからこそ、劇場が外へ出ていき、映画を見にきてもらうのを待つだけでなく「おすすめする」場をつくる。その工夫が、なんだか十三らしい。

「これから大切にしたいこと」として菅野支配人が挙げたのは、舞台挨拶やトークイベントを含め、交流できる場所であり続けること。「つくり手と観客だけでなく、観客同士もコミュニケーションを取れる場所でありたい」と語られていた。

シアターセブンは一人でお越しになるお客様も多い。でもその“一人”は、孤独ではない。スクリーンの暗がりに身を置くことで、心のよりどころをそっと確かめに来ているのだ。

リアルな場所に集まる機会が減りがちな時代だからこそ、「行けば何か面白いことをやっている場所でないと、ミニシアターは生き残れない」——そんな危機感も滲んでいた。

商店街のざわめきの中に、映画の話ができる場所がある。映画を観るだけでなく、誰かの言葉を聞き、誰かに言葉を返せる場所がある。

シアターセブンは、インディーズ映画を上映している“劇場”であると同時に、十三という街の中で、小さな会話を育てる“場”でもあるのだと感じた。

シアターセブン

概要

住所 大阪府大阪市淀川区十三本町1-7-27 サンポートシティ5階
シアターセブン BOX1:60席
シアターセブン BOX2:36席

チケット

映画チケット

オンライン販売:ご鑑賞日の7日前の9:00から 上映開始60分前まで
劇場窓口販売:ご鑑賞日の7日前の劇場開館時間より
(「7日前」 → 例:3/13(土)のチケットは3/6(土)よりご購入いただけます)
※劇場窓口販売は、最終作品上映開始30分後までとなります。

イベントチケット

※販売開始日は、各イベントごとに異なります。
各イベントページにてご確認ください。
【前売予約/当日】の区別のないイベントチケット
※販売終了日時は、映画チケットと同様
【前売予約/当日】の区別のあるイベントチケット
オンライン販売:「前売予約」販売終了日時は前日23:59まで。「当日券」のオンライン販売はありません。
劇場窓口販売:「前売予約」販売終了日時は前日(最終作品の上映開始30分後)まで。「当日券」は当日の劇場開館時間より。
※原則上記の通りとなりますが、舞台挨拶付き上映、特別興行や一部のイベントについては、上記の例外となる場合がございます。その際はHPに別途記載させていただきます。

公式

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